ひだまりコラム 保健師 上杉敦子
残暑厳しい日が続きますね。暑い中での子育ては、親子共に疲れが出ますね。
そういった疲れが溜まり体力が落ちているときには、病気に罹りやすいものです。
この夏も、コロナに関係なく、当院では赤ちゃんから高齢者まで沢山の発熱患者を診察して来ました。その中で、患者さんたちに伝えてきたことがあります。
「解熱剤は飲むタイミングがある」ということです。
ウイルスや細菌は、我々の体温が38.5度以上になるとたいてい死滅します。そのため脳と体は、体内に入ったウイルスや細菌と闘うために体温を上げて、白血球の働きを活発にします。
そうして免疫機能を高めます。
つまり発熱とは、生体の防御反応のひとつなんです。熱が上がり出した時、37.5度までの微熱状態の時、ゾクゾクと悪寒がして熱が出る予感がする段階では、解熱剤を飲んで体温を下げると、ウイルスや細菌が死滅せずに風邪が長引きやすくなります。この段階では解熱剤を飲む必要はありません。
患者さんでも、早めに飲んだ方がいいかなと思い、解熱剤を飲んだが、再び熱が上がり長引くので診察して欲しいと来院される方も多くいました。発熱が続き、頭痛や水分も摂れないような食欲不振が続く場合は、38度5分を目安に解熱剤を飲んで熱を下げてください。
注意してほしいのは、熱が下がり、頭痛や体のしんどさが軽くなったと思っても、風邪が治ったわけではありません。解熱剤は熱を下げますが、風邪を治す薬ではないため、しばらく安静にして症状をしっかりとみていってください。熱の出始めは、悪寒がしてきます。まずは体温を逃さないために服を重ね、室内の温度を上げ、布団をかけ、温かい白湯を飲み保温しましょう。やがて体温が上昇してくるとともに、だるさや頭痛などの症状が出ます。
しかし、上がり切ると、次第に、手や足、顔がほんのりと赤くなり、汗が出てきたら、次に、冷やしていきます。目安は38.5度前後です。よくおでこを冷やす人がいますが、熱を下げる効果はあまりありません。首のまわり、両方のわきの下、ふともものつけ根など、脈が感じとれる場所を保冷用パックや冷えたタオルなどで冷やしてください。そのあたりは太い血管が皮膚の表面の近くを通っています。
体温が高いときは、体中を巡る血液の温度が高くなっているので、これらの場所を冷やすと血液の温度を下げて体温を下げることになります。赤ちゃんが嫌がる場合は、無理に冷やすよりも、薄着や室内温度を下げて冷やしてあげてください。熱が上がりきると、体は大量の汗を出して体を自分で冷やしていきます。赤ちゃんが汗をよくかくのも、自分ができる防御反応をしっかりできているからです。
汗で濡れたら着替えをこまめにして下さい。脱水が発熱を増強させることもありますので、しっかり水分補給をうながし脱水に気をつけて下さいね。
人間の身体は、本来持っている力があります。それを活かしながら、ケアをしてあげて下さいね。